こんにちは。
東日本麻酔科医ネットワークの竹森です。
アルバイトを探していて職業紹介サイトを見ていると仕事の分け方としてこんな表現がよく使われているのを見かけませんか?
・常勤
・週3常勤
・定期非常勤
・スポット
・待機
・当直
当たり前すぎて特に解説しなくてもわかっている人ばかりだと思いますが、これから医師になる人やまだアルバイトなどしたことがない先生のために簡単に説明しようと思います。
病院に就職することで一般的には週4~5日はその病院で勤務することになります。
アルバイトは週1日もしくはなしということになります。
常勤の定義に関しては他のサイトなどでも書かれていますが厚生労働省が発行した週32時間ルールというものがあります。
1日8時間の労働だと週4日は必要なので常勤の定義として週4日以上ということになるわけです。
ただ、これは病院の必要医師数をカウントするための定義であるため、実際は各病院の就業規程によって常勤、非常勤が決まっています。
週3常勤などの登場により現在はやや形骸化していると言えます。
・期間の定めのない雇用契約なので安定した仕事である。
・福利厚生が手厚い。
・社会的信用が得られやすい。
・同じ時間、非常勤として働くより給料が低くなる。
・臨床以外の業務など病院運営に関わる仕事を要求されることがある。
・拘束時間が長くなりがち。
スキルアップなどは常勤医師がしやすいという話もありますが、先端医療をおこなう大学病院や大きな病院以外はあまり関係ない気がします。
総合的に見ると安定した身分であり社会的信用も高いため最もスタンダードな勤務形態だといえます。
開業していないほとんどの医師が常勤として働いており、空いている時間で非常勤医師としてアルバイトをしているケースが一番多いです。
常勤は週4日以上じゃないの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、麻酔科医の中では最近はやりの勤務形態だと思います。
週3日単一施設に専従していることが麻酔科専門医更新の必須条件となったため急速に普及してきました。
・麻酔科専門医の更新条件を満たせる。
・福利厚生など常勤のメリットを享受できる。
・週2日はバイトに出られる。
・週3日非常勤医師として働くより給料が低くなる。
常勤扱いするかどうかは結局、病院との就業規則に関する話になってしまうということなので、病院が許してくれれば一番おいしい形と言えるでしょう。
病院側からも週3日非常勤医師として勤務してもらうよりも給料を下げることができるというメリットがあるのも普及の要因の一つとなっています。
安定していてバイトもかなり行けるという点で現状では一番人気がある勤務形態かもしれません。
わかりやすく言えば毎週○曜日におこなうアルバイトのことです。
多くの麻酔科医が週1日程度は定期非常勤で仕事を入れています。
・安定したアルバイト収入が得られる。
・アルバイト先の医師やコメディカルと顔なじみになることでストレスが減る。
・その曜日は他の仕事は受けられない。
常勤+定期非常勤という組み合わせが一番スタンダードな麻酔科医の働き方だと思います。
定期非常勤は比較的安定したアルバイトであるため、医師にとって重要な収入源になります。
その曜日に他の仕事は入れられないため、定期非常勤のアルバイト単価が低いと年間の稼ぎも低くなってしまいます。
そのため、単発のバイト条件は妥協しても定期非常勤の条件は妥協したくない!という麻酔科医が多いようです。
結果として1日に得られる金額が比較的安いアルバイトは定期非常勤先として選ばれにくい傾向があります。
単発で入るアルバイトのことです。
○月○日に手術があるため麻酔をかけに来てほしいという形です。
不定期に手術をおこなう比較的小さい病院や美容外科クリニックなどが多いですが、大きな病院でも手術件数に波があるような場合に発生することがあります。
・当直明けなどで空いている時間にバイトに行くのにはちょうどいい。
・単発なのでドライな関係で麻酔をかけられる。
・器材や薬などが事前にわからなかったりすることがある。
・不定期であるためスポットのみで生計を立てるのはかなりリスクが高い。
不定期に発生するスポットは空いている時間にバイトを入れたい麻酔科医にとって非常に重要な存在です。
不定期な手術をおこなう病院にとっても、固定でコストが発生しないという点で多少単価を上げても意味があるというメリットがあります。
病院自身が麻酔科医を探すというケースは少なく、医局や紹介会社経由で麻酔科医を募集することがほとんどです。
待機はオンコールなどとも呼ばれますが、自宅や病院近くのホテルなどに滞在して緊急手術が入った場合に病院に行って麻酔をかけるバイトになります。
泊まるのが病院になれば当直となります。
平日など通常の診療時間内に働く場合は日勤と呼ばれます。
病院の当直室で拘束されるのは人気がないため、ほとんどの施設で夜間休日などは麻酔科は待機となっています。
待機している拘束時間に対しての時給に加え、呼び出しがあった場合に別料金が発生するというパターンが多いです。
週末などに待機を入れるとまとまった待機料が得られやすく、平日に自由にアルバイトできない場合に好んで選択されることがあります。
医師の勤務形態による呼び方についてお話させてもらいました。
ほとんどの麻酔科医は常勤+定期非常勤であり、バイトに対して積極的な人はさらにスポットを組み合わせることになります。
スポットでいろいろな病院で働いてみるのも勉強になると思いますよ。
麻酔方法、薬剤の種類、デバイスなど、病院によって異なることが多いため、麻酔科医としての引き出しが増える部分があります。
ただ、違った環境での麻酔はそれなりにストレスを感じることもありますし、デバイスの違いでトラブルなども起こりえますので向き不向きがあると思いますので、無理はしないほうがいいと思います。
著者 竹森 健
東日本麻酔科医ネットワーク代表。
麻酔科専門医、指導医、医学博士。
フリーランス麻酔科医として10年以上活動する傍らで医療法人経営。
MM2Hホルダーでマレーシアへの教育移住経験あり。
麻酔科専門医の竹森が地方での深刻な麻酔科医不足を解消するために設立した一般社団法人です。
麻酔科医の重要性の啓蒙、麻酔科医の専門技術・知識の更新をサポート、
地域の医療水準向上への協力を理念に掲げ、質の高い麻酔科医を紹介し、総合的により安全かつ
円滑な手術室運営に貢献してきました。
2024年度から実施される医師の働き方改革に向けた取り組みもおこなっていきます。
クローズドな麻酔科医ネットワークとは別にオープンな医師紹介の需要にも応えるため、
麻酔科医専門の求人サイトも運営しております。