2021.04.30
医師の働き方

卒後年別!医師の働く目標とキャリア形成の考え方を解説

医師キャリア

医師のキャリア形成を考えるに当たり、各ステージごとに明確な目標を立てることが大切です。

ターニングポイントとなる卒後年数は決まっており、それぞれのステージにおける行動目標や考え方を整理しておけば、みなさんのキャリア形成の一助になります。

そこで、今回の記事では、臨床業務やキャリア形成において大切と思われるポイントを卒後年別にお伝えします。

自身がその年代を迎える前に、具体的な目標を立てることが肝要です。

これが出来れば、理想とする医師像への近づくことや、ライフワークバランスのとれた働き方を手に入れることが可能になります。

医師のキャリア形成はさまざまなパターンがあり、正解は人それぞれです。

本記事で紹介する内容はその一例にすぎませんが、キャリア形成を考える上で重要なことです。

みなさんが真剣に将来を考えるきっかけにもなりますので、ぜひご参考ください。

大学卒業後〜2年目;初期研修医は「浅く広く」が大事

研修医

医学部卒業後は初期臨床研修プログラムに則り、初期研修医として総合病院に勤務する医師がほとんどでしょう。

初期研修の最大の目標は、厚生労働省が掲げる通り「プライマリ・ケア」を修得することです。

医師にとって、自分の専門領域に対する初期対応はそれ程難しいことではありません。

年数を経て臨床経験を積めば、誰でも出来るようになります。

しかし、自己の専門領域以外への対応はどうでしょうか?

平日日中であれば他科の医師にコンサルトし、指示を仰ぐことができます。

しかし、夜間・休日はそう言うわけにはいきません。

循環器内科医が腹痛患者を診ることや、泌尿器科医が術後せん妄で暴れる患者の鎮静をする場面が必ずやって来ます。

病院に自分一人しかいない状況で「専門じゃないから」という言い訳は通用しないのです。

そのため、初期研修中は将来の専門分野を決めつつ、その専門以外の知識も浅く広く学ぶことをおすすめします。

この2年間で修得した知識と技術が、必ず3年目以降の自分を助けてくれます。

卒後3〜7年目;専門医取得に全力投球

卒後3年目からは「後期研修医」や「専攻医」と呼ばれ、各々が決めた専門領域を極め始める段階です。

医師としては3年目ですが、研修医を除けば組織の最下端のポジションです。

修得する必要がある知識や技術が膨大なだけでなく、日当直や諸々の雑事も多いので大変な時期だと思います。

この時期の最大の目標は「専門医を取得する」ことです。

取得にかかる労力は各専門によって異なりますが、ほとんどの領域で必要症例の提示ならびに筆記試験が課されます。

通常の臨床業務をこなしながら、人によっては大学院で研究をしながら試験勉強を並行しておこなうのは非常に大変です。

専門医の取得は「労力のわりに給与等の待遇に影響しない」「取得後の維持も大変」などのデメリットがあるため、医師の中には取得を目指さない方もいます。

専門医取得にはデメリットがある一方、「学んできたことの証が残せる」「今後の転職に有利」などのメリットも存在します。

加えて、「やっぱり取っておけば」と後になって悔やんでも、なかなか取得できない資格が専門医です。

一から症例を集め直すことや、衰えつつある脳ミソに鞭打って勉強することが困難だからです。

そのため、「絶対に必要ない!」という強い自信がない限りは、取得しておいて損しないのが専門医とも言えます。

卒後8〜20年目;医師のキャリアハイ!将来の道を左右する重要期

中堅医師

専門医を取得し50歳が目前に迫った年代です(現役で医学部入学・卒業した場合)。

医師としては「もっとも脂がのった」時期と言われます。

専門領域の診察・治療であれば自分一人で完結できることが多く、かつ体力も十分なため、診療科の中堅どころとして大きな活躍が期待できます。

自分で何でも出来るようになると、次に考えるのが「自身の立ち位置」です。

大学の医局に属している医師、市中病院に就職している医師など多様なパターンがありますが、皆考えるのが「このまま病院・医局に残ってポストがあるのか」「QOL重視の働き方はないのか」など、今後のキャリア形成についてです。

医師として脂が乗っている時期だからこそ、引く手数多で転職にも有利な時期なのです。

また、開業を考えている医師にとっても絶好の年代です。

日本における新規開業の平均年齢は41.3歳と言われており(日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」より)、金融機関から融資を引くことを考えても、年齢が若い方が有利だからです。

また、ここ数年の傾向として30代で開業する医師も増加しています。

よって、開業の目標がある若手医師はキャリアの浅い段階から、開業に向けた行動を起こすことが重要になりつつあります。

一般的に「売り手市場」と言われる40歳前後は、今後のキャリア形成における転換期になります。

理想的なのは、この年代を迎える前に自身のキャリア形成のロードマップを作っておくことです。

30代のうちから準備を進めておくことで、円滑なキャリアアップや転職が可能になります。

卒後20年目〜;「一億総活躍社会」の影響を考慮すべし

50代医師

年齢としては50歳を過ぎ、同年代は定年を迎えつつあります。

開業医であれば定年はないので体力のある限り働くことができますが、勤務医であれば65歳が一つの目安になるでしょう。

引く手数多の40代に終の住処を見つけ、その病院で定年を迎える医師がいる一方で、60歳を迎えてから特別養護老人ホームなどに転職する医師もいます。

現在は60歳を定年とする一般企業も多いですが、今後は一層の少子高齢化が見込まれています。

日本政府も「一億総活躍社会」を掲げており、国が主導して定年を先延ばしする可能性もあります。

そのため、いま現在よりも、歳を重ねてから労働する期間が長くなる可能性が考えられ、50歳以降の労働環境や働き方の重要度は増していると言えます。

まとめ

今回の記事では、卒後年別に医師の働く目標とキャリア形成の考え方についてお伝えしました。

各年代ごとに明確な目標をもって働くことは、自身のキャリア形成に直結します。

昨今では「医師の働き方改革」が話題になることが多いですが、やはり医師自身がキャリアプランを描いていないことも大きな問題です。

みなさんも「医局の命令だから仕方ない」「この病院にはもうポジションがない」と、嘆くばかりではいけません。自分の理想とする医師像・働き方を明確にし、それを達成するためにステージごとの目標をもつことが大切なのです。

本記事がみなさんのキャリア形成のお役に立てれば幸いです。


著者 広下 若葉

現役医師ライター。

麻酔科医として勤務する一方、ライターとして数々の作品を執筆。

オススメ記事
専門医は必要?
「一般社団法人専門医機構」によると、「専門医」とは”それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに先端的な医療を理解し情報を提供できる医師”のことで […]
ideco選び方
iDeCoは節税効果を享受しつつ、老後に向けた「自分年金」を形成できるオトクな制度です。 新型コロナウイルスや老後2,000万円問題による将来への不安から、ここ数年注目を集めています。 もちろん医師も活用すべき制度なわけ […]
投資スタイル
株式投資にはさまざまな分類があります。 「国内株式vs外国株式」「現物取引vs信用取引」などが代表的ですが、「投資スタイル」も重要な切り口の一つです。 「投資スタイル」とは、投資をする上での基本的な考え方や手法のことです […]
積み立てNISA
投資に興味のある医師も多いと思いますが、そんな方にぜひ利用してほしい制度が「NISA」です。 NISAを活用すれば、投資の利益をまるまる自分の儲けにできます。 高額な所得税や住民税に加えて投資の利益も納税していては、国に […]
投資信託
投資という漢字を分解すると、「資本を投げる」と書きます。 つまり、投資とは「現在のお金を投じることで、将来的にリターンされるお金を増やす」行為なのです。 では、投資先にはどのような商品があるのでしょうか? 投資の経験がな […]
カテゴリー一覧

東日本麻酔科医ネットワークについて

麻酔科専門医の竹森が地方での深刻な麻酔科医不足を解消するために設立した一般社団法人です。
麻酔科医の重要性の啓蒙、麻酔科医の専門技術・知識の更新をサポート、
地域の医療水準向上への協力を理念に掲げ、質の高い麻酔科医を紹介し、総合的により安全かつ
円滑な手術室運営に貢献してきました。
2024年度から実施される医師の働き方改革に向けた取り組みもおこなっていきます。

クローズドな麻酔科医ネットワークとは別にオープンな医師紹介の需要にも応えるため、
麻酔科医専門の求人サイトも運営しております。