2021.08.18
麻酔科医の仕事

医師の転職事情とその理由についての考察

医師の転職

昨今では医師の働き方改革について耳にする機会も多いですが、客観的に見れば医師の勤務負担はかなり深刻に思われます。

人によっては「医師を辞めたい」「今の職場から離れたい」と思われている先生もいるのではないでしょうか?

ですが大変だとは分かっていても、「前向きでない理由の転職は負け」という風潮もあってか、なかなか今の職場や医局から離れられない医師も多いことと思います。

転職は医師に限らず労働者の人生を左右する一大イベントなので、「本当に転職していいものか」悩むのは至極当然です。

そこで今回は、現在の医師の転職事情やその理由について考察することで、ご自身の働き方や転職について、いま一度見直す機会になればと思っております。

医師の転職理由ランキング

医師の転職理由は多種多様に思われますが、色々なアンケートに目を通すと共通して上位にランクインしているのが、「大学病院・医局を離れたい」「勤務負担が大きい」「人間関係・職場環境に辟易」「家庭の事情」などの理由です。

「自身のスキルアップのため」などの前向きな理由もランクインしていますが、どちらかというと「現在の職場を離れたい」という、後ろ向きな理由の方が多く見受けられます。

それぞれの転職理由について深掘りしてみると、やはりと言うか見えてくるのは「現状の勤務負担が大きすぎる」という問題です。

前述した転職理由を見てみると、「勤務負担が大きい」はそのままですが、「大学病院・医局を離れたい」は「医局に勤務先の決定権を握られるのは嫌」「医局の関連病院がどこも大変」と言う背景が見えてきます。

「家庭の事情」と言う理由も、「勤務体制が家庭・生活に与える影響が大きすぎる」と捉えれば、やはり根本は激務な勤務体制にあるのではないでしょうか?

中には「健康を害したから」と言う理由も見受けられ、過度な勤務が肉体・精神的な健康を害した可能性が考えられます。

医師が激務なのはなぜ?

激務を毎日こなしていると、「なぜ忙しいんだろう?」と考えることすら止めてしまいますが、ここではなぜ医師という職業が大変なのかをもう一度考えてみたいと思います。

労働時間が長い

受け持ち患者がいる場合、休日出勤も当たり前なので、単純に労働時間が長くなりがちです。

どんなに忙しくても1日24時間しかありませんから、労働時間が長ければプライベートの時間を削るしかありません。

日本医師会の調査によると、「休日が月4日以下の勤務医が全体の4割を占めている」というアンケート結果が出ています(「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」より)。

当直明けの通常業務

先ほどの「労働時間が長い」につながりますが、当直明けでも通常通りに勤務している医師がほとんどです。

9時に出勤し当直をこなして翌日の17時に退勤したと仮定すると、32時間も連続で勤務しているわけですから、これで疲弊しない方がおかしいと言えます。

しかも医師の場合、一つの判断ミスが患者の生命を危険にさらずこともザラなので、精神的な負担もかなり重いと考えられます。

頻繁な勤務先の異動

特に医局に属している医師が該当すると思いますが、数年単位で勤務先を異動する医師も多いと思います(かく言う筆者も、3年以上同じ病院にいた経験がありません!)。

しかも異動先は医局に決定権がある場合がほとんどなので、これが家庭生活への負担になるケースも多いようです。

先述したの転職理由のうち「大学病院・医局を離れたい」と回答した医師の多くが、「医局人事と決別したい」という理由を挙げています。

オンコール対応

麻酔科医の場合、特に当てはまるかもしれないのが「オンコール対応」の問題です。

自宅にいるにもかかわらず、いつ鳴るかも分からない携帯電話を持っていては精神的にも休まりません。

しかも、オンコールだからといっ手当が支給される病院の方が少ないことも、多くの医師が不満に思っているようです。

また主治医の場合は、担当患者に問題があれば即座の対応を求められるのも当たり前です。

自宅でも気を緩められないことを負担に思う医師はかなり多いのです。

まとめ

日々の激務に疲れ、転職を考えている先生方もいるかと思いますが、医師のキャリア形成は今まさに変革期にあります。

新専門医制度のスタートや医師の働き方改革、AI医療の台頭など現状は目まぐるしく変化しています。

そのため転職やキャリア形成について考えようにも、「何から考えたらいいか分からない」と言う医師も多いようです。

キャリア形成で迷った際には、まず「自分自身がどうしたいのか」を見つめ直してみてください。

医師として第一線で働きたいのか、それとも家族との時間を優先したいのか、人によって一番大切なことは違うはずなので、それに自身が気づくことが大切です。

最重視することが見えてくれば、あとはそれを守るために行動するだけです。この記事が転職でお悩みの先生方のお役に立てれば幸いです。


著者 広下 若葉

現役医師ライター。

麻酔科医として勤務する一方、ライターとして数々の作品を執筆。

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