2021.04.13

1か月後に医局派遣麻酔科医がゼロになる!

麻酔科医ゼロ

※具体的な病院名は関係各所への影響も考慮して控えさせていただきます。

A病院の事例

概要


地域の基幹病院であるA病院でしたが大学医局からの派遣麻酔科医引き上げにより常勤麻酔科医がゼロになることが決定しました。

しかし、予定していた他大学からの協力が得られず次年度からの手術室運営が困難となります。

地域医療崩壊の危機となり、A病院からの依頼を受けた東日本麻酔科医ネットワークが十分な数の麻酔科医確保、夜間休日の待機、術前のリスク評価などをおこないました。

安全な手術室運営が可能となり、手術件数も前年度と比べて増加しました。

背景


地域の基幹病院であったA病院は心臓血管外科や産科なども含め、年間2500件以上の手術をおこなっていました。

従来は大学病院から複数名の常勤麻酔科医を派遣してもらっていたため、安定した手術室運営が行われていました。

しかしながら大学病院本院のマンパワー低下に伴い、翌年度から常勤医師の引き上げが年度途中で決定してしまいます。

A病院は複数の大学医局に常勤麻酔科医派遣を要請し交渉を続けていましたが良い返事は得られませんでした。

新年度まで3か月を切った段階で麻酔科医確保の見通しが立たず、手術室運営が困難となることが予想されました。

手術ができなくなれば外科系医師の連鎖撤退も生じ、病院経営も立ち行かなくなるだけでなく地域の医療崩壊が現実となってしまいます。

事態を重く見たA病院から東日本麻酔科医ネットワークに支援要請がありました。

課題


以下のような課題が存在しかなり困難な状況でした。

・麻酔科医がゼロとなる新年度まで1か月程度しか時間がない。

・産科医療があるため365日24時間体制で臨時手術を引き受ける必要がある。

・心臓血管外科があるため心臓麻酔にも長けた能力の高い麻酔科医を集める必要がある。

・都市部からのアクセスが悪いため長距離移動にも耐えられるタフな麻酔科医が必要。

・様々なバックグラウンドの麻酔科医が混在するため現場でマネジメントを行える医師が必要。

・術前回診をおこなう常勤医師がいなくなったため術前リスク評価をおこなう必要性がある。

対応


準備期間がほぼない状態であったため、代表である竹森がフリーランス麻酔科医として独自に構築した人脈を用いてプロジェクトに一部でも参加可能な医師を日本全国から集めることで対処。

待機の問題については1泊2日、2泊3日の勤務などを組み合わせることで夜間休日待機の大部分をカバーすることができました。

間が空いてしまうようなケースでは代表である竹森自身がフリーランス医師としての柔軟な対応を最大限利用し対処することにしました。

結果として4月から1度も待機医師不在という状況を作らず、地域の産科医療の不安を取り除くことができました。

30~40代で体力があり、心臓血管外科手術のボリューム施設での勤務経験がある麻酔科医を多く集めることができました。

そのため、心臓血管手術に関しては定期・臨時手術ともに安全におこなうことが可能となりました。

さらに、様々なバックグラウンドの麻酔科医が混在するため、麻酔法や薬剤選択などの違いが予想されました。

個別対応にすると看護師や外科医に混乱が生じ事故の原因となりうるため、以前の常勤医師の麻酔法をベースとして術式で一定の決まり事を作り共有する形にしました。

外科医、看護師の意見をフィードバックしながらシンプルな手術室運営になるよう配慮しました。

手術室での麻酔業務のみならず全症例で従来通り、術前リスク評価や麻酔説明をおこなうことで安全な周術期管理をおこなうことが可能となりました。

経過


新たに大学病院からの麻酔科医派遣が行われるまで時間がかかるため、それまでの手術室運営を担当しました。

1年後に大学病院からの常勤医師が1名入職したため、サポートおよび引継ぎをおこないました。

2年後に大学病院から複数の常勤医師の派遣が決まりましたが症例数が多いため、定期非常勤として臨床業務のサポートを継続することになりました。

総括


麻酔科医がゼロになるというパニック状態から次の常勤医師が決まるまで空白の状況を作らず安全かつスムーズな手術室運営ができました。

タイムリミット1か月の状態だった地域の医療崩壊を食い止めることができたという意味で、大変やりがいのある仕事だったと思います。

この案件の対応により、信頼できる麻酔科医同士のネットワークで中核病院をサポートするという一つの形が確立されました。

東日本麻酔科医ネットワークについて

麻酔科専門医の竹森が地方での深刻な麻酔科医不足を解消するために設立した一般社団法人です。
麻酔科医の重要性の啓蒙、麻酔科医の専門技術・知識の更新をサポート、
地域の医療水準向上への協力を理念に掲げ、質の高い麻酔科医を紹介し、総合的により安全かつ
円滑な手術室運営に貢献してきました。
2024年度から実施される医師の働き方改革に向けた取り組みもおこなっていきます。

クローズドな麻酔科医ネットワークとは別にオープンな医師紹介の需要にも応えるため、
麻酔科医専門の求人サイトも運営しております。