2021.05.26
医師の働き方

専門医は取得するべき?専門医のメリット・デメリットを徹底解説

専門医は必要?

「一般社団法人専門医機構」によると、「専門医」とは”それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに先端的な医療を理解し情報を提供できる医師”のことです。

専門医を取得することは、その診療領域における「お墨付き」を学会からもらえるということに他なりません。

しかし、それ以外のメリットを問われたとき、みなさんはパッと思いつくものはあるでしょうか。

医師によっては、「専門医にはメリットを感じられない」という理由から、そもそも取得を目指さない方や、取得はしたものの更新をしない方がいるのも事実です。

このように専門医を放棄する方は、専門医にどのようなデメリットを感じているのでしょうか。

今回の記事では、そんな専門医に関する疑問について深堀りしたいと思います。

専門医を取得することの具体的なメリット・デメリットを知れば、キャリア形成の一つの道しるべになることでしょう。

これから専門医を取得しようかお悩みの方、なんとなく取得はしたけど更新に疑問を感じている方は、本記事を読めばその悩みを解消できるはずです。

興味のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。

専門医を取得することのメリット

まずは、専門医取得によるメリットを見ていきましょう。

診療領域の能力を認められた「証」になる

当然ですが、専門医と認められなければ「〜科専門医」と名乗ることはできません。

また、専門医になったからといって、いきなり臨床能力が上がるわけでもありません。

しかし専門医という資格は、今まで医師として積み上げてきたことの「証」そのものです。

ヒトによっては専門医を誇りとして、ますます自己の知識と技術を高めようと努力するかもしれません。

また患者によっては、「専門医の方が安心して診察・治療を受けられる」というヒトがいるのも事実です(実際の臨床能力はわかりませんが…)。

初対面の患者と信頼を構築しやすい点は、専門医の最大のメリットかもしれませんね。

専門医を取得する過程が勉強になる

医師勉強

各診療領域によって異なりますが、専門医を取得するには指定された症例を経験したり、筆記試験が課されたりする場合がほとんどです。

日常業務をこなしながら、症例レポートを書いたり筆記試験の勉強をすることは相当な労力です。

しかし、「専門医を取得するため」という明確な目標がなければ努力できない方も多いのではないでしょうか。

専門医を取得するまでに費やした努力や経験した症例は、今後医療を続けていく上できっとみなさんを助けてくれます。

専門医を取得することも大切ですが、その過程も同じくらい大切なのです。

転職・出世に有利になる

医師昇進

病院・クリニックが医師の技量を評価する観点はさまざまですが、専門医の有無が一つの目安になる場合があります。

仮に募集が一人のところに、専門医を所持する医師、所持しない医師が一人ずつ応募してくれば、専門医をもつ医師が採用される可能性が高いでしょう。

また、ヒトによっては「大学に残って研究を続けたい」「教授を目指したい」という方もいるかと思います。

「教授になるには専門医が必要」という明記を見たことはありませんが、一般的に専門医の取得は必須といえます。

平社員として大学に残る場合でさえも、医局によっては専門医がなければ肩身が狭い思いをするかもしれません。

専門医を取得することのデメリット

続いて専門医取得のデメリットを見ていきましょう。

勤務先が限定されてしまう

「新専門医制度の最大の弊害」といわれるのが、勤務先の限定化です。

新専門医制度のもとで専門医を目指す場合、専攻医として後期研修を受ける病院は大学病院やそれに準ずる大規模病院に限定されます。

よって、自分の希望する病院で働きながら専門医取得を目指すことはほぼ不可能といえます。

また、大学の医局に属して専門医を目指す医師も多いと思いますが、その場合の勤務先は「医局の言われるがまま」です。

医局によっては半年〜1年という短期間で転勤を命じられることもあるでしょう。

筆者もそうですが、専門医取得のためとはいえ勤務先を選べないことを不便と感じる医師は多いようです。

取得・維持するのに費用がかかる

専門医は取得するにも、維持するにも費用がかかります。

テキスト代や講習会の費用であれば、自分の勉強にもなるので文句は言いません。

しかし、ただ単位を集めるだけの学会参加に何の意味があるでしょうか。

学会に参加するためには、移動費・宿泊費・参加費・セミナー費などが必要です。

開催地によっては、10万円以上の費用がかかることも珍しくないでしょう。

専門医の更新を諦めた医師の大部分は、この「点数集め」を理由に挙げています。

専門医を維持するメリットが薄いなら、思い切って「更新をしない」という選択をした方が金銭的・ストレス的にメリットが大きいのかもしれません。

給与が増えるわけではない

残念ながら、専門医を取得しても給与が増えることはほとんどありません。

米国など一部の国では、専門医を取得することで給与が倍増するそうですが、日本では関係ないのです。

ちなみに筆者の勤務する病院では、「資格費」という名目で月額5,000円が基本給に上乗せされるだけです。

専門医の維持費用を含めればマイナス収支になることは自明でしょう。

まとめ;専門医の必要性は医師の考え方による

今回の記事では専門医取得のメリット・デメリットをお伝えしましたが、結局のところ専門医の必要性はどうなのでしょうか。

筆者は、「専門医の必要性は個人によって異なる」と考えています。

なぜならば、理想とする医師像や働き方はヒトそれぞれであり、それに伴って専門医の重要度も異なるからです。

「患者からも同僚からも信頼される完璧な医師」を目指すのであれば専門医という「箔」は必要ですが、「ライフワークバランスがとれた週3勤務のバイト医師」に憧れるなら専門医は不要でしょう。

このように、専門医の重要度は十人十色です。

医師の数だけ考え方があるともいえます。

今回の記事を参考に、もう一度医師としてのキャリアを考えてみてもいいかもしれませんね。


著者 広下 若葉

現役医師ライター。

麻酔科医として勤務する一方、ライターとして数々の作品を執筆。

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